
ウズベキスタン・パビリオン「知の庭園(The Garden of Knowledge)」は、ウズベキスタンの文化的アイデンティティを空間として表現したものです。古代から受け継がれてきた知と伝統、そして未来に向けた革新とテクノロジーを映し出しています。
感覚的で時を超えたこの旅は、パビリオンの内部で、ひとつの庭のライフサイクルに沿って進んでいきます。種が植えられ、水が行き渡り、芽が出る土の中の暗がりから始まり、やがて木々が空へと伸び、花開く庭の姿へとつながっていきます。
出発点は、まさに「大地」そのものです。パビリオンの入り口では、湾曲したレンガの道が、移行空間としての土壁の回廊へと続きます。水面のゆらめく反射が、手仕事で仕上げられた土の壁面に映し出され、来場者を包み込みます。

この空間は、展示の基盤となるエリア「ザ・ソイル(The Soil)」へと続いていきます。
地下を思わせる湾曲した円形の空間には、土でできたミニマルなキューブ状の台座が並び、その上に設置されたLEDシートを通じて、ウズベキスタンの物語が展開されていきます。
展示はジオラマや3Dモデルなどで構成され、革新性、持続可能性、教育をテーマに、ゼロエネルギー住宅、グリーントレイン構想、再生可能エネルギーの導入といったプロジェクトが多彩に紹介されます。
土壁の上部には、川のように流れる横長のビジュアルパノラマが広がります。古代の遺跡や未来都市、鮮やかな自然風景が、物語・イラスト・映像を通じて多層的に描き出される、ハイテクによる映像表現です。
展示の中心にあるのは「インキュベーター(The Incubator)」です。ウズベキスタンの知に触れた来場者は、没入型のハイテクドーム空間に入り、360度の映像と音による体験が始まります。プラットフォームは(日本で初めて導入される技術により)ゆっくりと地面から上昇していきます。

ドームの内部では、アニメーション、音、物語が美しく融合し、空間全体を包みます。古代文様の幾何学的なリズム、サマルカンドのレギスタン広場の建築美、力強い砂漠の風景、そして未来を見据えた持続可能な都市の姿が次々と映し出されます。
土から空へと向かう旅は、ザクロの木々が実をつけ、花開く風景で最高潮に達します。上昇したプラットフォームがパビリオンの頂点にたどり着く瞬間です。
ここで、「庭」のコンセプトは抽象から具象へと姿を変えます。「庭の頂部(Garden Apex)」では、日本各地から持続可能に調達された木材で作られた木柱が林立し、ゆるやかにうねる地面から空へと伸び上がり、自然の流れを感じさせる森のような空間をつくり出します。
それは、立ち止まり、感じ、考え、味わうための「庭」です。土と種から果実と森へ、ウズベキスタンの古の叡智と文化遺産が、革新と先進的な発想、そして世界水準の持続可能性によって、未来へと形を変えていく場所なのです。