ストーリー

ザ・ガーデン

ザ・ガーデン

壁に囲まれた庭園を想像してみてください。ザクロやイチジクの実が実った木々。香りの良い花々。装飾タイル。土の小道。

ウズベキスタンでは、2,500年以上にわたり庭園文化が育まれてきました。
建物の奥にある中庭に密やかに設けられたこれらの庭は、美とやすらぎ、創造とアイデア、知的な交流とソーシャルコネクションが共存する、時を超えた聖域のような空間です。

そこでは、人と自然、人と人のつながりが可視化され、普遍的な知が交わる場として機能しています。
この香り高き庭の世界と、そこから湧き上がる知こそが、現代的な解釈を通して再構築されたウズベキスタン・パビリオンの「種」となっています。設計を手がけたのは、ATELIER BRÜCKNERです。

このパビリオンの重要な着想源のひとつとなったのが、ユネスコ世界遺産に登録されている古都・ヒヴァです。かつて学びの中心地であったこの地では、代々の学者、職人、家族、商人たちがマドラサ(イスラム神学校)や中庭の庭に集い、知を分かち合ってきました。

ウズベキスタン・パビリオンは、そのような庭のライフサイクルを映し出すと同時に、ウズベキスタン文化と日本文化が共通して持つ価値観も浮かび上がらせます。

精緻な手仕事への敬意、自然素材の美しさを尊ぶ感性、そして自然そのものの美を静かに見つめるまなざし——。こうした要素は、ウズベキスタンと日本の文化的DNAに共通して見られる特徴です。
また、もうひとつの共通点は「もてなしの心」です。両国とも、豊かな茶文化が根づいており、もてなしの精神を日常の中で体験できます。

そして両国とも、「庭の美しさ」に深く心を寄せてきました。
日本では人の生の儚さを映す象徴として、またウズベキスタンにおいては、楽園、豊かさ、精神の調和を表すものとして。
クラフト、人のつながり、美への眼差しに根ざした二つの文化が重なる場所に、ウズベキスタン・パビリオンは佇んでいます。
そしてそこに広がるのは、時を超えた知の感性です。